市ヶ谷軍──といっても、市ヶ谷の他は南利美と外国人だけの陣営だが──に加わったはるみ。
聞きしに勝る市ヶ谷のワガママな破天荒ぶりには思いっ切り振り回されまくるも、彼女や南、さらにはカオスらという世界トップクラスのレスラーたちの中での戦いは、はるみの能力を急速に開花させていくことにもなる。
そして、そんなある日のこと。
「そういえば斉藤さん、今度キックボクサーと試合をするそうですね」
「ああ、メアリー・スミスっていう、現役の世界王者とね。以前一度やって、その時には運良く勝てたんだけど、今度はどうか分からない」
「勝ってくださいね! 斉藤さんなら絶対勝てますよ」
「…ああ」
「約束ですよ」
「そうだな…。約束の一つもしておいた方が、いざという時に支えになる。だが、はるみの方こそ、人のことを心配している場合じゃないんじゃないのかな?」
「え?」
「オーッホッホッホ! こんなところにいましたのね、はるみさん!」
「わあっ!!! い、市ケ谷さん!? びっくりした!」
「いいこと、はるみさん。いよいよ今度のシリーズ、わたくしとあなたで世界タッグへの挑戦が決まりましてよ」
「ええ!? ほんとですか!?」
「ホッホッホ。ま、本来ならわたくし、タッグのベルトなどというものにはあまり興味がないのですが、なかなか頑張っていらっしゃるあなたのためを思いまして、世界タッグへの挑戦を要求しておりましたのよ」
「え? そうなんですか? うわあ、嬉しいですー」
『うーそばっか。タッグベルトあんなに欲しがってたくせにー』
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