「…やれやれ、あなた達、遊ぶことには一生懸命なのね。まだ半人前のクセに」
「…ムッ! 越後さん。まじめに練習した後に何しようが、あたし達の勝手じゃないんですか?」
「結城…あたしが言ってるのは気を抜いた練習はどんなにやっても無意味ってこと! そんな事じゃいつまでたっても前座のままよ、わかってるの?」
「あたしはちゃんと気合い入れてやってます!」
「なるほどね…結城、それじゃあたしと勝負してみる? あなたが負けたら、気合いを入れて練習をやり直してもらいましょうか」
「い、いいですよ。越後さんが負けたら…そうだな、バッティングセンターをおごってもらおうかな」
「…わかった、バッティングセンターだろうが何だろうがおごる! さあ、リングに上がりな!」
実力は越後の方がまだ何枚も上。しかし、半人前相手にお灸をすえようという越後の思惑が驕りとなり、油断を生む。
3カウントを聞いたのは、越後の方だった。
「ま、まさか!?」
「へへへ…さあて、越後さん? あたしの勝ちですよねぇ」
「…わかってる、私に二言はない! それじゃ、早いトコ着替えていくか!」
「え? あの、どこ行くんです?」
「バッティングセンターだろ? おごってやる。その代わり、私もやるぞ!」
「別にお金くれるだけでもよかったのに…もしかして向こうでも勝負する気じゃ…」
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