「う、上原さん…!」
「はるみ、強くなったわね。私の手には届かないくらい…」
「上原さん…わ、わたし…その…」
「マスター・ウエハラとは、遠征先で何度か一緒になったの。あたしがはるみのことを話すとすごく心配そうだったんで、今日のこの試合に来てもらったのよ。はるみの大きくなった姿を見てもらうためにね」
「そうだったの…。
あ、あの、上原さん、私、上原さんのおかげでここまでこれました」
「はるみ、私は何も教えてないわ。ここまでこれたのは、自分の気持ちを貫き通した、あなた自身の力なのよ。私は、仮にもあなたの師匠と呼ばれることを、誇りに感じるわ」
「そんな、上原さん…。私一人じゃ何もできませんでした。上原さんが後ろで見ててくれたからこそです。でも、これだけは感じています。これで、上原さんから巣立つことができたかなっ…て」
「…ええ、立派に飛び立っていったわよ」
「さ、はるみ。もう一度お客さんに応えてあげなきゃ!」
「う…うん!」
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