団体の垣根を越えた最強タッグ決定戦、EXタッグリーグ。
WRERAの社長は、昨年と同様に登録選手を相談するため、六角葉月を事務所に呼んだ。
「それでだ。今年も、お前と誰かのタッグで行ってもらおうかと……」
「あ、それなら市ヶ谷でよろしく」
「……毎度毎度、話が早いな。しかし、どこか嫌そうに見えるのは気のせいか?」
「いやぁ、別に嫌なわけじゃないんだけど。ただ、去年は祐希子と私ゃで優勝しちまっただろ? だもんで、あのお嬢が例によって、祐希子に対抗心燃やしちまってね。おかげで最近は、自分を選べって、ストーカー並みにしつこいプレッシャーかけてきてさ……」
「……お前も大変だな」
EXタッグリーグ参加チーム |
パンサー理沙子&ドルフィン早瀬 | 新日本女子 |
八島静香&フォクシー真帆 | 新日本女子 |
ソニックキャット&菊池理宇 | 新日本女子 |
十六夜美響&南利美 | ワールド女子 |
ガルム小鳥遊&オーガ朝比奈 | 日本海女子 |
ローズ・ヒューイット&ジャネット・クレア | 海外 |
サンダー龍子&石川涼美 | スレイヤー |
六角葉月&ビューティ市ヶ谷 | WRERA |
国内の実力者たちに加え、今年は GWAからトップチームのローズ&ジャネット組が参戦。混戦が予想されていたのだが……
「ヒューイットぉ! ここで会ったが百年目だ! 石川、手を出すんじゃないよ!」
「は~い、龍子。……ほどほどにね」
かつて龍子が完敗を喫した相手、ローズ・ヒューイット。 *10
だが、今の龍子はその時とは全く違う存在になっていた。
龍子はほぼ一人で GWAトップレスラー二人を相手に鬼神の如き立ち回りを見せ、石川がほぼ傍観者に回る中で、完勝劇を演じたのだった。
「これで、借りは返したよ!」
そして迎えた最終戦は、三年連続の全勝対決。そして、二年連続のWRERAとスレイヤーの対決となった。
「あなたがサンダー龍子とやら? 国内最強のパワーファイターとか呼ばれて悦に入っているようですけど、その遥か上に全宇宙最強の私がいることを、しっっかりと自覚して欲しいですわね。オーッホッホッホ!」
「ビューティ市ヶ谷……噂通りの高飛車ぶりだね。 その大口が実力に見合ってるのか、私が確かめてあげるさ!」
龍子と市ヶ谷のみならず、石川と葉月もパワーを強みの一つとする選手だ。
試合は、それが当然であるかのように、全員のパワーがぶつかり合う大激戦となった。
個々の力の合計は葉月&市ヶ谷組がわずかに上。しかし、龍子&石川組はチームワークでその差を埋め、戦いは長期化。結果、フルタイムドローに終わったのである。 *11
「全勝対決の最終戦でドロー……ルールでは、たしか再試合ですね。燃えてきました~」
「やれやれ。面倒なこって……」
石川と葉月のその態度が明暗を分けた、というわけではないだろう。
ただ、再試合となった勝負は、初戦で相手の動きを把握・研究した石川の頭脳プレイと、実にダブルインパクト3発を決めるという息のあった連携プレイが光り、龍子&石川組が勝利したことは確かであった。
「さすがの名参謀ぶりだったね、石川。この調子で、来年のタイトルマッチも頑張んなよ?」
「あはっ。来年のこと言ってると、鬼が笑っちゃうよ。ね、龍子?」 *12
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